最近、あんまり本を読んでいないなぁと思い、読むならSF物が読みたいという気分だったので、ネットとかの記事で記憶に残っていたタイトルで、未読の物をいくつかピックアップして読んでみた。
まずは設定が面白そうだったからというのと、基本読書さんのレビューを見て読みたくなかったから。というか、SF物が読みたいなぁという欲求を刺激されたのは、基本読書さんのレビューの影響が大きい。ということで、どういった内容なのかは、以下のレビューを読んだ方が早いし、参考になる。
huyukiitoichi.hatenadiary.jp
が、残念なことには、自分はあまり楽しめなかった。タイトルからも分かるが、日系の植民惑星が舞台なので、日系の似たような名前ばかりが登場する。同時に、同じ職業(軍人、官僚)ばかりが沢山出すぎて、登場人物の区別ができず、世界観に全く浸れなかった。この辺、もう少し登場人物を絞って描くべきではないかと思った。登場人物が多すぎて、結局誰が主役なのかも分かりにくく、そのため感情移入できなかった。
SF好きでSFをよく読んでいる人には合うかもしれないが、自分のような普段からほとんどSFを読まない人には合わなかった。設定は面白いのに、残念。
アニメ化された
幼女戦記の原作者の作品。
幼女戦記の初期の悪文さが抜けて、読みやすい文体で、ほとんど
ライトノベル。
乱暴者の軌道降下兵版の「エンダーのゲーム」と言った感じ。SFっぽいモノを手っ取り早く読むたいという人にはオススメかもしれない。
ただし、軽めでスイスイ読めてしまうが、逆に軽すぎて少し物足りない感じがして、満足感は少な目。
有名すぎる
伊藤計劃の作品。アニメ版は未視聴。天の邪鬼な性格なので、話題になっている最中には手を出さなかったので、未読のままになってしまっていたが、今回改めて読んでみた。
噂に違わなく、素晴らしい作品。こういうSFが読みたかったので、非常に満足できた。難点は予備知識がない状態で読むと、世界観を把握するまでに少し時間がかかることくらいか。ただ2部から3部くらいまで読み進めると、ぐいぐい引き込まれていく。日本人の作家なので、翻訳のSFにある違和感が全くなかったのも、凄く良かった。未読の人は、絶対に読んでおくべき作品。
同じく、
伊藤計劃の作品。「
虐殺器官」が素晴らしかったので、期待して読んだが、うーんという感じだった。詰まらなくはない。だが、面白いかと訊かれると、面白かったとは言えないというのが、自分の正直なところ。ストーリーや設定は悪くはないのだが、主人公が少女(女性)で、ハードボイルド的な要素がほとんどなかったからか、自分には合わなかった。SFというより、近未来の世界観をサスペンスという印象だったので、自分がイメージして読みたいと思っていたSFとはだいぶ違っていた。同じ作家でも作品ごとに合う合わないが出てしまうのはしかたがないが、他の短編集を読んでみるか迷い中。
SFというより、ファンタ
ジー的だった。科学技術が現代より退化してしまっている移民惑星の話で、科学技術ばかりでなく、政治体制なども中世的なので、世界観がSFというよりか中世ファンタ
ジー的だった。
なので、自分が求めているようなSFではなかった。ただ文体は
ライトノベルっぽく読みやすい。各キャ
ラクターもスタンダードな
ステレオタイプで、イメージしやすかった。気が向いたら、続刊を読んでみようかと思ったが、とりあえずは1巻だけ読んで満足した。
古典的名作。良い作品だと思う。が、やはり少し古さを感じてしまい、純粋には楽しめなかった。もともとの原文がそうなのか、翻訳のためなのか分からないが、文章がすぅと頭に入ってこず、読み進めるのにかなり苦労した。娯楽として読むというより、教養として読んでおく分には良いかもしれない。
映画になっているので、結構有名。だが、自分は映画も未読だった。海外の作品なので、翻訳が心配だったが、完全な杞憂だった。
超絶に面白かった。翻訳が素晴らしいのか、海外の作品にありがちな不自然さがまったくなく、文章がスムーズに入ってきて、場面が自然にイメージできた。
翻訳も良かったが、何より自分が求めて、読みたいと思っていたSFその物だった。これぞ王道のSFという感じで、すごく楽しめた。
映画を未視聴だったので、結末を知らなかったので、最後までワクワクできたのも良かった。ボリュームも文庫本で570ページ余りあって、満足感が高い。ここ十数年、ほとんどSF小説を読んでいなかったが、一番面白く、楽しめたSF小説だった。
未読の人は絶対に読んで、損はしない。火星有人飛行が現実味を帯び始めている今だからこそ面白いという面もあると思うので、今の内に読んでおくべきだと思う。