電子探訪記

モンハン好きのおっさんが残すライフログ、読書・ゲームがメイン

【モンハン】モンハンワールドに足りない「引き算」の美学

www.4gamer.net
この記事を読んで、任天堂の「ゼルダの伝説 BotW」はゲームの作り込みというかバランスが良いのに、カプコンの「モンハンワールド」は色々と細かい点で作り込みができていないという印象を受けるのだろうかという以前から気になっていた疑問が解けた気がした。

 これは音だけに限ったことではなくて,映像表現とか写真や絵画でも同じだと僕は思っていて,「写さない」「撮らない」「描かない」という選択肢は能動的な表現方法の一つではないでしょうか。
 僕が一番言っちゃいけないミュージシャンだと自覚しつつの発言ではあるのですが,日本人のPOP表現は足し算が基本で,こういう無音の選択肢が苦手な気がします。それがいいか悪いかは別にして,です。例えばビルボードのチャートに上っている曲を聴いてみると,音がスッカスカです。ベースとドラムだけ,みたいな曲もあります。それで成立しているのですが,日本のトラックは潤沢ですよね。足し算してなんぼみたいな。
 再度言いますが,僕はそれがいいか悪いかは問題としていません。どちらもいいと思っています。それどころか世界の潮流に逆らって足し算を続けるJ-POPに愛を感じています。しかし,足し算することしか知らないのと,引き算の美学があることを知りながらそれでも足し算をするのでは,大きく違うと思っています。


モンハンには、「それ、必要?」という演出やギミックが多い。
モンハンワールドで上げるとしたら、ざっと思いつくだけでもかなりある。

・クエスト開始時のキャンプ移動時の振り落とし
ファストトラベルがあるので、マップを開けば、そのまま当初のキャンプ地点に移動できるので、まったく不要な演出。単にうざいだけ。
開発陣としては、ファストトラベルですぐにキャンプ地点に移動できてしまうのは単調すぎるので、一種のアクセントして追加したつもりなのでろうが、ユーザ側したら意味不明なストレスでしかない。

・痕跡採取時のモーション
痕跡採取時の匂いを嗅ぐ動作や、剥ぎ取りのモーション。
採取した時の採取のモーションが1つしかないと、単調な印象を与えてしまうので、とりあえず複数のモーションを作ってみました的な感じ。
ゲームを始めた最初の頃はいいが、戦闘中やモンスターを追っている時に、余計なモーションがあると邪魔なだけ。特に匂い嗅ぐモーションが個人的に不快感。

・気絶時の顔を叩く動作
ずっとフラフラしているだけのモーションだと単調なので、アクセントとして、顔を叩くモーションを加えましたいうもの。
早く復帰させようとして、コントローラのスティックをガチャガチャさせているのに、あの顔を叩く動作が余計に苛々させる要因になっている。
ゲームの難易度を維持するのに気絶要素が必要なのは分かるが、フラフラする動作だけで十分。

スリンガー
ペイント玉を廃止したので、それに代わるシステムを付け加えないと、目新しさに欠けてしまうので、導入してみました的なシステム。
このシステムがあるせいで、アイテムアイコンが増えすぎて、←→キー操作だけは間に合わなくなり、ショートカットキーを追加しないとまともに操作できなくなるほど、操作性が悪くなってしまった。

・食事の時のムービー
せっかく凝ったムービー作ったのだから、強制的にみせてやるという開発側のエゴを感じる。optionボタンでスキップできるが、毎回optionボタンを押さないといけないのは非常に煩わしい。ボタンを押さなくても自動的にスキップするようにオプションメニューで設定できるようにするべきだが、「せっかく作ったムービーをユーザが見てくれないのは寂しいじゃないですか」的な感覚から、自動スキップ機能を頑なに導入しない。

・出しゃばりな受付嬢
要らない過剰な演出の筆頭。「ゼルダの伝説 BotW」の抑制の効いた最小限の演出とは真反対のもの。ヒロインがいないと海外受けしないからという理由で、狩りの邪魔しかしない受付嬢を不必要に押し出す演出。

・痕跡システム
賛否両論だが、蟲が誘導しているという設定は不要だったのではないか。戦闘状態になると導蟲が誘導を中断してしまうのも、ストレスでしかなく、単純にゲームシステムとしてマップ上にモンスターを表示するだけで良かった。蟲による誘導は暗い時はいいが、昼など周囲が明るいと見づらくて仕方がない。戦闘状態だと痕迹が明るくならないので、戦いながら痕迹を集めたりすることができないのが、地味にストレス。

・肉焼き機
今作ではこんがり肉が不要なので、肉を焼く必要性が完全にないのも関わらず、モンハンと言えば肉を焼くモーションが象徴的なので、残しましまたという不要なもの。肉焼き機のアイコンは邪魔なアイコン筆頭。

モンハンは過去作から、変に世界観に拘り、それによりユーザにストレスを与えるの意に介せず、開発側のエゴ的な演出をユーザに強制的に押し付けるという印象が強い。
直前で「ゼルダの伝説 BotW」をプレイしたせいか、どうも任天堂の「作ったが不要な要素なので、敢えて削る」というスタンスと、カプコンの「せっかく作ったので、不要だけどもったいないので、取り敢えず残しておく」というスタンスの違いというか、「引き算の美学」を理解していない点がもどかしい。

これは音だけに限ったことではなくて,映像表現とか写真や絵画でも同じだと僕は思っていて,「写さない」「撮らない」「描かない」という選択肢は能動的な表現方法の一つではないでしょうか。


カプコンもそろそろ足していくだけでなく、不要な要素は削るという「引き算」の美学を習得して欲しいなぁと強く思う。
それでもモンハンワールドをプレイしている時間の方が圧倒的に長いので、なんだかんだ言ってもモンハンが現行のゲームの中ではもっとも好きなんだろうけど…