偶には仕事関係のお話を。
ブログのタイトルにもある通り、自分はCE(カスタマーエンジニア)なわけです。
まぁ、最近はドライバーを握るよりも、ひたすらExcelの資料と、メールを読み書きしている時間の方が長いのですが。
で、自分が勤める会社は保守会社なのです。
で、当然そこそこの規模なので、社外用のHPがあり、そこでは「部品の在庫管理ならお任せ下さい!!」とか書いてあり、「部品管理にお悩みなら、ぜひご相談を!部品管理のプロフェッショナルが御社の悩みをズバッと解決!」みたいな文言が謳われているわけです。
が、それを見るたびに、「うちの会社も相談するべきなんじゃないかな」と自虐的にいつも思うのだけど、まぁ、それはそれとして、部品の在庫予測がなぜいつも外れ、常に部品が足りなくなるのかというのを、自分なりに解説したい。
自分も現場に出ている時には、部品在庫がない度に、「またかよ。いい加減にしてくれよ」と思っていたわけですが、管理職に近い立場になり、SEや設計と直接やり取りするようになって、俯瞰的に見れるようになると、「ああ、だから、常に部品が足りなくなるのか」と分かるようになった。
honz.jp
少し前にこんな記事があったけど、人間と同じように、機械にも平均的なモノなど存在しない。
例えば、AというノートPCを1000台、とある大企業に納入したとする。
で、同じような型のノートPCの障害率などのデータを参考にして、AというノートPCをサービス期間中(仮に5年間)、保守サービスを維持するのに必要な部品を算定して、HDDx100個、CPUx70個、メモリx50個、電源x40個、メインボードx80個とかを納入と同時に保守部品としてストックする。
納入と同時にというのがポイントで、昨今のノートPCなどの電子機器はサイクルが早く、半年経つと同じ部品が製造中止になって、入手できないなんてことは多い。なので、保守サービス開始の時点で、それぞれの部品必要数を予測して事前にストックしておかなければならない。
が、この予測が大抵外れる。というか、当たる方が稀。
確かに、ノートPC全体の平均的な故障率というデータはあるが、PCにも型名と製造時期によってそれぞれ特性があり、統計の通りには壊れてくれない。
AというノートPCは、ひたすら電源ばかりが壊れていき、用意していた40個があっという間に無くなってしまい、HDDやメモリ、CPUなどの他の部品は全然減っていないのに、電源だけが足りなくなるということが、日常的に色々な機械で起こっている。
平均思考はときに、人命に関わる重大な問題をも引き起こす。1940年代の米空軍は、ひどいときには一日に17人ものパイロットが墜落事故に遭うほどの、飛行機制御の不安定さに頭を抱えていた。電気系統やパイロットの飛行技術など様々な要素に疑惑の目が向けられたのち、最終的に原因と考えられたのはコクピットだった。1926年に初めて設計されたコクピットは、その当時の何百人もの男性パイロットの身体データの平均値をもとに規格化されていた。軍の技術者たちは、その後の20数年でパイロットの体が大きくなり、古い基準に基づくコクピットにフィットしなくなったのではないかと考えたのだ。
そこで、1950年に空軍は改めてパイロットの体を計測し、最新のデータを集めることを決めた。このときの空軍が幸運だったのは、このプロジェクトに、ハーバード大学で形質人類学を専攻することで人体が個々人でどれほど大きく異なるかを熟知していた、ダニエルズ中尉が参画していたことだ。ダニエルズは4,063人から得られたデータを基に、身長、胸回りや腕の長さなど10カ所の平均値を割りだした。そして、10項目すべてにおいて平均範囲におさまるパイロットがどれだけいるかを調べて衝撃を受けた。4,063人の内10項目全てが平均内の者はただの一人もおらず、3項目だけに絞っても該当する者はたったの3.5%しかいなかったのである。
人間と同じように、機械にも平均的なモノなど存在しない。なるべく平均的になるように作られてはいるが、やはり差異が出てくる。
じゃあ、何を参考にすればいいのかと言われると、その当てにならない統計データを頼りにするしかないのだけれど、平均思考の罠も意識しないと駄目なんだなぁと考えさせられた。
まだ、書評しか読んでいないけど、機会があったら、じっくり読んでみたい。